先延ばしをしなければ、人生はバラ色であると考えている人は多いでしょう。
僕も常日頃からそんなことを考えているんですが、実際は考えているだけで先延ばし癖はほとんど克服できていません。(昔に比べれば大分良くなった)
今回は以前書いた記事、フロー体験と先延ばしにしない技術は一致しているらしいの続きになります。
フローというのを凄く簡単に説明すると、ゲームにハマる人間の心理状態のことです。
やるべきことが明確で課題のレベルが難しすぎず簡単すぎず適切など、いくつか条件があるようですよ。
先延ばしを克服する技術=意図的にフローの条件を満たす
- 先延ばしをしてしまうのは何故か?
- 意図的にフロー体験を得る方法は?
今回の記事では、主にこの2つの内容について書いていきます。
できない部分を潰すのではなく、できている部分を伸ばすというアプローチで進めていくことにします。
前者ではなく後者なのは、単純にそのほうがポジティブで面白いからね。
先延ばしをしてしまう仕組み
よく考えると「してしまう」という言い方はおかしいですよね?
まるで自分が被害者のような言い方です。
ですが、本当に被害者なのかもしれません。
ティム・アーバンの先延ばし魔の頭の中はどうなっているのかを要約してみました。
脳内にいる3人の登場人物
- 理性的意志決定者
- すぐにご褒美が欲しいサル
- パニック・モンスター
ティム・アーバンの語ったストーリー
- 理性的意思決定者はとても弱く、いつもサルに舵を奪われている
- パニック・モンスターは本当に緊急な時だけ出てきて、サルを木の上に追い払う
- 理性的意志決定者は、そこで初めて舵を取る
- あなたは先延ばしにしている問題に着手する
- やるべきことをやらずに遊んでいる時を暗黒の遊び場という
- 締め切りがない場合、パニック・モンスターがいないので夢を追い始めることさえできない
- おサルの問題が一番嫌らしいのは、締め切りがないとき
先延ばしを克服するメタ認知
ヴィク・ニフィーのWhy we procrastinateの話の要約を書きます。(メタ認知の部分のみなので注意)
この動画には日本語訳がないので、内容をよく知りたい人は「明日やればいいや」はもう卒業–物事を先延ばしにするデメリットとその対処法を見ると良いでしょう。
非常に内容が難しいためか、僕は最初全然ピンと来ませんでした。
ヴィク・ニフィーのメタ認知(考えることを考える)
- ゴールを設定する
- 時間を設定
- プロセスを計画
- 必要なものは前もって準備する
- 気が散る可能性を排除
- 失敗を計画
TEDの時間が足りないため、それぞれ一言二言しか付け加えられてないんですね。
そのためスピーチの内容はとても良いことがわかるのですが、身近には感じられないのです。
僕はこの6つのプロセスの全ての条件を満たせば、ゲームのように楽しく取り組めそうな気がしました。
ちなみに、ゲームのメカニズムを利用する活動をゲーミフィケーションと言います。
次に、フローの構成要素を見てみましょう。
フローの8つの構成要素
チクセントミハイが見たところによれば、明確に列挙することができるフロー体験の構成要素が存在する。彼は8つ挙げている。
- 明確な目的(予想と法則が認識できる)
- 専念と集中、注意力の限定された分野への高度な集中。(活動に従事する人が、それに深く集中し探求する機会を持つ)
- 自己に対する意識の感覚の低下、活動と意識の融合。
- 時間感覚のゆがみ - 時間への我々の主体的な経験の変更
- 直接的で即座な反応(活動の過程における成功と失敗が明確で、行動が必要に応じて調節される)
- 能力の水準と難易度とのバランス(活動が易しすぎず、難しすぎない)
- 状況や活動を自分で制御している感覚。
- 活動に本質的な価値がある、だから活動が苦にならない。
フローを経験するためにこれら要素のすべてが必要というわけではない。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』フロー (心理学)のページより抜粋
ミハイ・チクセントミハイ=フロー=ゲーム
みたいなものだと思ってほしい。
というのも、よくできたゲームは意図的にフロー状態を作り出すようにデザインされているから。
「ゲーム類は明らかにフロー状態の源泉であり、遊びこそは卓越したフロー体験である」とミハイ氏は言います。
そしてフローの8つの構成要素は、先程の6つメタ認知と共通点が多いように思いませんか?
例えば「ゴールを設定する」というのは、「明確な目的」を作ることに他ならないし、「プロセスや失敗を計画」するというのは、状況や活動を自分で制御している感覚(コントロール感覚)を作り出そうという目的に似ています。
先延ばしにしているのに「やらなくっちゃ」と思っているということは、「活動に本質的な価値がある」はずというのは、ほぼ間違いないでしょう。
どうでも良いことならば、先延ばしをして憂鬱な気分にはならないからです。
フローの8つの構成要素はイマイチわかりにくいと思いますので、次は面白いゲームの条件を挙げていきましょう。
面白いゲームの4つの条件
- 勝てること
- 斬新な課題
- 目標
- フィードバック
出典: 残酷すぎる成功法則 125~127Pより抜粋
勝てること
RPGの裏ボスと戦うように、粘り強くやれば勝てると思えるような「正当な楽観主義」ということらしい。
ゲームには明確なルールがあるので、しっかりやれば勝てるというのは本能的にわかっているからね。
プレイヤーはゲーム中80%は失敗しているそうです。
ゲームというのは失敗のリスクが非常に低く、クリアできるようになるまで何度でも挑戦し続けられるので、失敗しても落ち込むことがない。
斬新な課題
経験の自己と記憶の自己と言われるヤツですね。
人間の脳は楽をしたがるけど、本当の幸せは振り返った時に大変だと思えるような、刺激溢れる斬新な課題であるという話。
目標
目標というのはゴールと同じ意味。
自分で立てた目標が適切であるかどうかの指標は「ワクワクできるかどうか」。
また目標に納得感があるかというのも大きな要素であり、人から言われた目標でやる気が出ない理由は、納得しにくいからなんだそうだ。
関連記事>>>やる気を出すには、まず目標について納得しないと行けない
フィードバック
「大きな功績にしか関心を示さない者より、小さな成果を途切れなく感じている者のほうが、人生に対する満足感が22%高い」
ゲームだと数字やアイテムが増えたりして上達がわかりやすい。
しかし現実世界で記録をつけるのは中々難しい。
フィードバックを得るために人は熱心にゲームをしたり人に話しかけたりしているのに、現実世界で記録をつけるのが難しいとはおかしな話だよね。
フィードバックには、チェックシートやカレンダーに印を付けたり、ご褒美にチョコレートを食べたり、スプレッドシートに記録したり色々ある。
でもやっぱりどれも続けるのは大変で、工夫がいる。
不思議だ。
先延ばしをフローとゲームの条件に合わせる
ここまで色々と説明してきたが、本題に入っていこう。
「先延ばしを克服するメタ認知」を、「フロー体験の構成要素」と「面白いゲームの4つの条件」に照らし合わせてみましょう。
- ゴールを設定する(フロー1、ゲーム123)
- 時間を設定(フロー5678、ゲーム2)
- プロセスを計画(フロー234、ゲーム2)
- 必要なものは前もって準備する(フロー234)
- 気が散る可能性を排除(フロー234)
- 失敗を計画
こうしてみると先延ばしを克服するメタ認知は、かなりフローやゲームに近いということがわかる。
3はルーチンワークは取り組みやすいという性質を利用したもの。
6はフィードバックの反対で、フィードフォワードという考えだ。
例をあげると、車で見晴らしの悪い住宅街を運転する時ブレーキに足を乗せておくとか、目覚ましアラームをたくさんセットするとかだね。
失敗した時のリスクが高い時に使われる考えであるので、ハッキリ言って不健康。
個人的に、脅威に対抗するその考えは好きではない。
元の動画では「考えるのをやめて休憩しよう」となっても、あきらめずにやり抜くと言っているが、アンダース・エリクソン教授が言う超一流の鉄則10には「これ以上集中できないと思った時点で練習や勉強は打ち切る」というのがあります。
ゲームは気楽に始めて、気楽に辞めるものなんだから、そっちのほうが良いような気がする。
終わりに
新たに出来たリストを載せてみよう。
- ゴールを設定する(フロー1、ゲーム123)
- 時間を設定(フロー5678、ゲーム2)
- プロセスを計画(フロー234、ゲーム2)
- 必要なものは前もって準備する(フロー234)
- 気が散る可能性を排除(フロー234)
- 記録する(フロー5678、ゲーム4)
ちなみに僕は先延ばし克服のスペシャリストでもなんでもないし、どちらかというと先延ばしをしてしまうタイプ。
しかし本当にこのリスト、見れば見るほどゲームに似ているように思える。
先延ばしを克服するための作業手順のテンプレートを作ったのは初めてだけど、これはうまく行きそうだ。
プロセス(手順)を計画っていうのと、実際に決めた時間に行動するという部分がゲームなんだろう。
カードゲームならば、プロセスを計画するのはデッキを組む行為。
決めた時間に行動するという部分が、組んだデッキで対戦する行為。
自分で組んだり選んだりしたデッキ以外で対戦しても、全く面白くないのは当たり前であったか……
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