
ナルシストとは、自己愛性パーソナリティー障害・ナルシシスト・ナルシシズムと同じ意味です。
よくある特徴として、ナルシストは自分より立場の低い人に対して酷い態度を取る、などと言われることがあります。ですが、これは性格というより知能の問題が大きいし、ナルシストとは直接関係がありません。
善人か悪人かの分かれ目は、人に親切にするのが好きか嫌いかになります。
内部記事>>>性格の良い人と悪い人の見分け方
なので、この記事では
ナルシスト=自分を特別だと思いこんでいる人
この定義で進めていくことにします。
返報性のルール
良いことをされたら、お返しをしたくなる心の動きです。
社会が健全に機能する上で非常に価値のあるルールなので、幼い頃から世界中の人の身に染み付いています。
あらゆる親切に対して何も返さない人がいたら、誰も関わろうとはしないでしょう?
返報性のルールとナルシストは、一見あまり関係がないように思えますが、ナルシストは恐ろしい事に返報性のルールが逆向きに働いているのです。
かなり複雑な話なので、まずは医者の例を挙げてみましょう。
医者は賄賂を受け取る資格があると思いがち
カーネギーメロン大学の研究です。
アメリカの研修医301人を対象にしたオンライン調査が実施されました。
1つ目の参加者グループは、業界の販売員から贈り物や報酬(ワイロ)をもらうのを、どの程度認めるかを尋ねた(質問1つだけ)。
認めるとしたのは21.7%
2つ目のグループには、まず医師になるまでどの程度の私的犠牲・金銭的犠牲を払ったかを尋ねる質問をしてから、1つ目と同じ質問をする(質問2つ)。
認めるとしたのは47.5%
3つ目のグループには、2つ目のグループと同じ質問をした後、これまでに費やしてきた資源が、贈り物を受け取ることの正当な理由になるか質問した(質問2つ)。
認めるとしたのは60.3%
PRE-SUASION :影響力と説得のための革命的瞬間 350~351Pを簡単にして抜粋
返報性の法則が顔を覗かせると、「自分は医者になるまで苦労や努力をしてきた、だから贈り物をもらう資格があるんだ」と考えてしまうようなのです。
医者が自分を特別であると思った理由は、周りの人よりも苦労してきたことを思い出したから。
しかしナルシストは、何故かいつも自分が特別であると思っています。
自分を特別だと考えていると無用な怒りを生む
返報性のルールが全く通用しない恩知らずのタカり野郎は、もしかしたら恩を知っているかもしれません。
「自分のほうが相手に親切にした。貢献したんだ」と思っているだけ、という仮説はどうでしょうか?
もしそんな人がいたとしたら、常に不満を抱えていることになります。
先程の医者の話ですが、医者がナルシストだった場合はどうでしょう?
ワイロを受け取る前に、毎日受け取りたいと考えているに違いないかと。
「なんで贈り物が来ないんだ!」と毎日思っている人間がいたら怖すぎるのですが、理屈としては存在する可能性があります。
このような考え方は、人付き合いに限らず、生活全般で無用な怒りを生みます。
ナルシストは努力ができない
自分を良く見せたいのであれば必死に努力をするべきなので、これは一見矛盾しているように感じますね。
一般人は100の努力をしたら「100の努力をしたな」と認識します。
ところが、ナルシストは100の努力をしたら「500の努力をしたな」と認識してしまうのです(5倍は、おおよその見当)。
常に自分を特別だと思っているので、努力にも重みをつけるのです。
もっといえば、ナルシストは100の成果を出すには500の精神的努力が必要になります。
結果、努力を先延ばしすることになります。
どうやっても期待が大きすぎるので、ナルシストは努力に裏切られ続けることになります。
特別になりたいのであれば特別な努力が必要
特別な努力と聞いてパッと思いつくのは、MMO廃人・プログラマー・プロゲーマー・youtuberとかですかね。
前者3人はよほど好きじゃないとダメな仕事で、努力と成果のコストパフォーマンスを気にしていたら続きませんよね(MMO廃人は仕事じゃないが)。
youtuberは前者3人よりは一般人に近い気がしますね、挙げた動画が伸びなくって落胆する姿がチラつきます。ですが、いちいち気にする人は続かないのでしょう。
ナルシストは高すぎる目標を設定する
心の底から自分を特別だと思っているのであれば、平凡な目標に意味を感じません。
ナルシストは一般的な人が立てるような普通の目標ではやる気が湧きません、なので極端に高い目標を立てます。
他の人がベンチプレス80キロを目標とする時に、140キロを目標とするような感じです。
高い目標を設定するほど、熱意や能力が上がるわけではありませんよね。
ならば、達成できない極端な目標を立てる意味はあるのでしょうか?
目標を立てた時だけ良い気分になる、それ以外にメリットはないでしょう。
反対にデメリットは凄くたくさんあって、とりあえず1つ挙げると、周りからは自分の言ったことを守れない人間に見られます。
対処法1 MMO廃人の慣れ
大昔にMMOを初めてプレイした時、1時間PTで狩りをして1レベル上がりました。
その時の私は「1時間PT狩りして1レベルしか上がらないとか、このゲームマゾすぎる」と言った記憶があります。
しかし2週間後には「うおおおおお時給6%うめええwww」とPTチャットで、みんなと言うようになりました。
2週間前までは1時間100%で辛いと言っていたのに、人間恐ろしいですね(あまりにも慣れるまでが速いと思うのですよ)。
モチベーションにも色々ありますが、順調に計画通り進んでいれば、まあまあ楽しいのがMMOです。
対処法2 自己評価の改善
単純に、ナルシストであることを辞めれば良いのです。
つまり心理的なカッコよさを手放すことなのですが、何故ナルシストは心理的なカッコよさにこだわるのでしょうか?
それは自己評価が不安定だからです。
漫画や小説でよくあるセリフの1つに「1番防御が厚い場所が弱点だ」みたいなものがありますが、そのイメージに近いでしょう(実際防具ってそういうもの)。
異常に高い自己愛は、自己評価を守る鎧であると言えます。
仮に、自己評価が揺るぎない人がいたとしましょう。
物事に失敗しても特に落ち込まないで、結果を受け止められます。
自信さえあれば、居心地の悪さは受け止められるのです。
対処法3 時間と行動を記録する
大したことをしていないのに、「いや~、俺凄い頑張っちゃったな~」と思ってしまうのがナルシストなので、一週間ほど時間と行動を記録してみるのが良い対処法になるでしょう。
思ったより何もしていないというのは、別に珍しいことではありません。
何もしていないけど達成感を得ているし、なんだか充実感を感じるのは人間良くあることなのです。
楽観的な人は、事実を自分の受け取りたいように解釈しますからね。
終わりに
自分を特別だと思いこむのは、物凄く高くつくという話でした。
ナルシストの人生哲学は、特別でなければ価値がない。というものでしょう。
確かに世の中の漫画や小説を見る限り事実なのですが、あまり正直すぎるのは考えものです。
何故ならば、我々は漫画の主人公ではないからです。