精神勝利法

情報には有害なものと可能性を広げてくれるものの2種類ある、情報の見分け方と選別のしかたを覚えて集中力をあげよう

シグナルとノイズ

村上春樹さんは自身のエッセイで次のようなことを言っていた。

才能の次に、小説家にとって何が重要な資質かと問われれば、迷うことなく集中力をあげる。

自分の持っている限られた量の才能を、必要な1点に集約して注ぎ込める能力。

これがなければ、大事なことは何も達成できない。

僕は普段、1日に3時間か4時間、朝のうちに集中して仕事をする。

机に向かって、自分の書いているものだけに意識を傾倒する。

ほかには何も考えない、ほかには何も見ない。

走ることについて語るときに僕の語ること 107~108ページより引用

ちなみに2番目には持続力をあげている。(3番目以降は語られていない)

 

とりあえず人間には集中力が必要ということなんだが、その前に何故これほどまでに私たちは集中できないのか?

 

その理由から見ていこう。

大昔の人間は集中しないほうが生存率が高かった

大昔は食物連鎖の頂点ではなかったからだ。

 

猛獣が来たら逃げないといけなかったので、とりあえず食事中でも作業中でも何か物音がしたら逃げる。

 

当然何か物音がした時、「家族か友人かな?」なんて思ってワクワクして待つよりも、虎かライオンと決めつけて逃げたほうが都合が良かった。

 

また餌を探したり、食事をしたりする時に集中しすぎて周りが見えないのでは危なかった。

 

つまり長時間集中するのはとても危険だった。

 

というわけで、我々人類は今でも次のような特性を備えている。

  1. 良いことよりも悪いことを想定する
  2. 良いことよりも悪いことに注目する
  3. 周りに注意し続ける必要があったので集中力がない

もちろんポジティブな情報ばかりに注目する集中力がある人もいただろうけど、そういう人はあんまり生き残れなかったんだね。

 

我々が村上春樹ではない理由がわかったところで、本題である良い情報と悪い情報の見分け方に入っていこう。

良い情報と悪い情報の定義

良い情報をシグナルと呼ぶ、悪い情報をノイズと呼ぶ。

 

シグナルの定義

  1. 真実で信頼性がある情報
  2. 私たちのチャンス、可能性、リソースを知らせてくれるもの

ノイズの定義

  1. 成功が可能な現実を認識することを妨げるもの
  2. 現実をゆがめて、知能を活かしてゴールに向かうことを邪魔するものすべて

人間は毎秒1100万件くらいの情報を受け取っているんだけど、処理できるのは毎秒40ビット(2進数、1が40個並ぶ)くらいなんだそうだ。

 

選択できる情報は限られているってことなんだけど、ノイズに注目したらシグナルを見落とすことになる。

 

逆もまたしかり。

ノイズを聴き分ける4つの基準

次の4つはノイズである確率が極めて高い

  1. 自分の行動が変化しないもの
  2. 必要な頃には古くなっているかもしれない情報
  3. 誰かの憶測
  4. 気を散らせるもの

ノイズには2種類あって、外部のノイズと、内部のノイズ。

 

人によって比率は違うかもしれないが、僕は内部のノイズに長年ひどく悩まされてきた。

 

外部ノイズを取り除く

  1. 耳栓をするように情報を遮断する
  2. 取り込む全体量を減らす

1の耳栓はポジティブなシグナルも入ってこないけど、有効な場面も多いだろう。

 

2の仕組みは、選択基準を知っていれば情報が少ないほうが選択しやすいから。(人間の能力の問題で、量が多いと倫理的な思考を働かせるのが難しい)

 

研究者とビジネスリーダーが提唱する手っ取り早い方法7選

  1. 車に乗ってから5分間、ラジオをつけるのを控える
  2. 人と話している時は、車のラジオを消す
  3. テレビやインターネットのコマーシャルを消音にする
  4. ブックマークツールバーからニュースメディアを除く
  5. 何かを予測する番組はあまり見ないようにする
  6. 自分の行動が何の影響も与えられない悲劇に関する詳細記事を読まない
  7. 仕事中は歌詞のない音楽を聴く

何か重大な情報を見落としたらどうするの?

人間の特性として、「何故か起きた出来事に対して、自分は実は予測していた」そう思ってしまうパターンがある。

 

日常生活に「だから言ったじゃん!俺は言ってたじゃん!」とか「俺はこうなるの知ってたね」みたいな預言者がたくさんいるが、その理由は単純にコントロール感を感じると気分が良いから。

 

実際はもっと悪質なことに、無意識に記憶の書き換えをしている。

 

話題に一度も出していないことさえ、「予想していた」と言い張るレベルなんだそうだ。(冗談の定番ネタでもある、誰もが日常的によくあるシーンだと知っているのだ)

 

「もしかしたら5chやTwitterやニュースやテレビには重要な事が書いてあるかもしれない」>ちょっと役に立つ情報があった>「やはり備えって大事だわ」>(ここで記憶の書き換え)>「俺はこうなることを見越して、あらかじめ必要な情報を得ていたんですよ。わかります?」

 

そもそもそんなに重要な情報が欲しいのであれば、Amazonの本の売上げランキングをチェックしたほうが良いのではないか?

 

このように人間は、何かを予測してそれが当たった時に異常に嬉しく思う習性があるようだよ(そういえば、ノイズの1つに誰かの憶測があったね)

内部ノイズを取り除く

内部ノイズというのはもちろんネガティブな心のつぶやきのことだ。

 

そして悲観主義は良い結果が起きる可能性を低くする。

 

悲観主義は餌よりもライオンの居場所を見つけるような考えで、楽観主義はライオンよりも餌の場所を見つけようとする考え。

 

現代社会では日常生活でライオンに遭遇する危険性はないので、餌の場所だけ考えればいいんだ。

 

楽観主義のほうが現代人ならばとても有利じゃない?

 

ネガティブな思考パターンの対処方法

  1. 悪いことが起きる可能性に見合うレベル以上に心配しない
  2. ほんの時たま当たるネガティブな予測のために、日々を無駄にしない
  3. 「心配すること」と「愛すること」や「責任を持つこと」を混同しない

順番に見ていこう。

1 成功率95%(見込みでいい)の事ならば、5%以上を心配に使うべきじゃない

95%というのは具体的に正しいほうがいいけど、別に見込みでもいい。

 

人は預言者になりたがるんだけど、当然ネガティブな予言のほうが多い。

 

ネガティブな予言に取り憑かれてしまったらどうすればいいか?

 

次の2つの質問をする

  1. これまで、その出来事は何回起きた?
  2. その出来事は、自分と同様の状況にある人にどのくらい起きてる?

あなたが「隕石に当たってしまったらどうしよう」というネガティブな予言が頭にこびりついて離れなくなったとしよう。

 

歴史的に見ると、数回起きてる。

 

確率で調べてみると、隕石に巻き込まれて亡くなる確率は70万分の1らしい。

 

思ったより高い数値だけど、70万分の1の確率を心配するのはエネルギーの無駄すぎるね。

 

ちなみに理想の結婚相手に遭遇できる確率は、1万回の生涯でたった1回らしい。(1万人に1人じゃないよ)

 

起きる確率があまりに低いことを考えるのは合理的じゃないってことだ。

 

無駄に時間とエネルギーを使うだけ。

2 2分間でも気を紛らわす

  1. 人間はネガティブなことを重要だと思う癖がある
  2. 人間は何故か預言者になりたがる

この2つの理由から、あなたもネガティブなことを予測する癖がついている可能性が高い。

 

次の引用は、過去に起こったネガティブな事への癖の話だが、ネガティブな未来を予測する癖とほとんど同じような意味だと僕は思う。

反すうは簡単にクセになり、しかもその代償はとても大きいんです。

非常に多くの時間が、腹立たしくてネガティブな思考への集中に使われ、自分を大きなリスクにさらすことになるからです。

問題なのは反すうの衝動が非常に強く、それを重要だと思い込んでしまうことです。

そのため、このクセをやめるのは難しいのです。

ガイ・ウィンチ 感情にも応急手当が必要な理由 日本語訳から抜粋

「研究によると、たとえ2分間でも気を紛らわすと良いんです」と、その後に言っている。

 

「ほんの時たま当たるネガティブな予測のために、日々を無駄にしない」という宣言するという方法もあるようだ。

 

ちなみに僕は知り合いがとても深く傷ついている時、この動画を見せることにしているんだけど、効き目は大きいみたいだ。

 

3 「心配すること」は気を散らせるだけ

心配は自分が気を散らすだけではなく、心配されている相手の気も散らす。

 

心配というのはネガティブな予測と同じなんだけど、心配って書くとなんだか良いことをしているように聞こえないかい?

 

心配にまつわる神話

  1. 心配していれば、悪いことが起きるのを防ぐことができるという思い込み
  2. 心配することが仕事や愛情だと考えている
  3. 心配しているというポーズを見せると良いヤツだと思われる

 

何故かこういった傾向があるそうだ。

 

あなたも心当たりがあると思うが、心配する人というのはインチキ臭い人が多くないかい?

 

うつ病の人に「そんなに無理して働くことはない、仕事を辞めたほうがいい」なんていうけど、具体的な辞め方の手順は教えないとか。

 

いじめられている子供に「無理に学校に行く必要はない」というけど、学校に行かなくても大丈夫な理由は教えないとかさ。

 

「頑張る」と同じくらい怪しい言葉だ。

まとめ

ノイズ消去の流れ

  1. 生活の中のノイズをチェックする
  2. 外部ノイズを消去する(簡単)
  3. 内部ノイズを消去する(練習が必要)

偏った思い込み(バイアス)

  1. ポジティブよりもネガティブに注目する
  2. 預言者になりたがる
  3. 心配していれば悪いことが起きるのを防ぐことができると思ってしまう

>>>参考にした本や記事

[amazon asin="4198638179" kw="成功が約束される選択の法則: 必ず結果が出る今を選ぶ5つの仕組み (一般書)"]

ショーン・エイカーの本。

 

ノイズを消去する部分だけ見たくて買いました。

 

前作の幸福優位7つの法則のほうが読み物としてはオススメです。

 

[amazon asin="4167502100" kw="走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)"]

集中力と持続力が大事。

 

感情にも応急手当が必要な理由

身近な人が精神的に傷付いた時、見せてあげてください。

 

>>>外部ノイズを消去するオススメツール

ウェブサイトブロッカー (Beta)

決められた時間、特定のWEBサイトを見れなくするchrome拡張機能。

 

僕はTwitterとMTGWIKIとしたらば掲示板を入れています。

-精神勝利法