1万時間の法則というのは、誰もが1万時間練習すれば特定の分野でトップレベルになれるという法則のこと。
ちなみに1万時間の法則が有名なのは、マルコム・グラッドウェルが書いた、天才! 成功する人々の法則という本が面白かったからだ。(マルコムは学者ではなくコラムニストなので、極端な書き方をする。主張は極端なほうが話が面白いので売れるからね)
1万時間は区切りがいいし、何かを「練習し続ければ達人になれるよ」というのは因果関係がわかりやすいし、希望が持てる考えだ。
1万時間の法則が間違っている理由は次の3つ
- 1万時間という数字に特別な意味がない(キリがいいだけ)
- マルコムが論文を誤解してて、1万時間も練習してない人も多かった
- ただの練習と、限界的練習(deliberate practice)を区別してなかった
今回の記事の内容は、主に1の部分。
それはエキスパートになるまでに必要な時間は、分野によって全く違うという事実だ。
つまり世の中には、ハッキリ簡単なことと難しいことがある。
分野によって、エキスパートになるまでの難易度が違う
実際国際ピアノコンクールで優勝するピアニストは、30歳前後であることが多いそうだ。
そうなると予想練習時間は2万~2万5千時間という数字になる。
つまりピアノの世界だと、1万時間では全然足りない。
しかし数字列の記憶だと、スティーブ・ファールンという人が200時間でトップになった。
今現在トップの人が何時間練習しているのかわからないけど、流石に1万時間よりずっと短いと予想できる。
ゲームによって難易度が違う
Twitterでは定期的に格闘ゲームの敷居が高すぎると話題になるが、まったくもってそのとおりだと思う。
格闘ゲーム初心者が、ある程度プレイしている一般プレイヤーと対戦した時、次のような流れになることが予想される。
- コンボ始動技を食らう
- コンボを完走される
- 起き上がりを攻められる
- 1に戻る
以上の流れを、格闘ゲーマーは起き攻めループと呼び、それ以外の人はハメと呼ぶ。
格闘ゲームには色々種類があるが、どんな格闘ゲームでも共通しているのは。先に攻撃を当てられる人が上手いプレイヤーという点だ。(上手い人は全部上手いんだけどね)
なので、システム的にコンボできない初心者は対戦しててワンチャンないうえに、一切ターンが回ってこない。(これをフラストレーションの壁と呼んだりする)
他人に優位性を示すどころか、一緒に遊ぶことすらままならないのである。
どれくらいプレイすれば楽しめるのか
よく考えると、チュートリアルが終わった時点で楽しい対戦ゲームってのは中々ない。
アニメや小説や映画なら、最初の5~10分我慢すれば大体最後まで楽しい。
つまり、どのくらいプレイすれば「イライラする」から「そこそこ楽しい」というレベルまでなるのか目安が欲しいのだ。
次の目安が欲しい
- やったことない人が楽しめるようになるまでの時間
- 楽しめるようになってから一般プレイヤーになるまでの時間
- 一般プレイヤーから上級者になるまでの時間
先程、数字列の記憶だと200時間でトップというのを聞いて、「自分もやってみようかな?」と思った人は多いだろう。
少なくとも僕はそう思った、「200時間でトップならば、2時間の練習でも人を驚かせられるレベルになるのではないか?」と考えたからだ。
たった数時間の練習で数字列の記憶の話を人にできるようになったら、それはかなりお得だ。(知的でカッコいいからね)
最初の20時間だけ練習する人もいる
ジョシュ・カウフマンという人だ。
彼はまあまあ良いレベルなら20時間で到達できると力説している。
4つの手順
- スキルを小さく分解して練習する
- 間違いを自己習性できるレベルを目指す
- 誘惑を排除
- 「ヘタクソな自分」からの脱却
エリクソン教授が言うには、学習の初期段階のみ知能指数が関係するという。
つまりジョシュ・カウフマン自体の知能指数が高いので、20時間だけ練習するという方法が有効な可能性が大きい。
しかし僕も自分が得意なことを人に教える時には、1のように教えるし、3は本当に大事だ。
こういったプロセスは確かに有効だと思う。
今までやったゲームで簡単だったものと難しかったもの
まずは、奥を語れるほどプレイしたゲームだけ書いてみよう。
覚えるまで難しかったもの
- MOBA
- 格闘ゲーム
覚えるまで簡単だったもの
- カードゲーム
- 人狼ゲーム
- 全てのMMORPG
覚えるまでが難しいゲームを練習するのは、社会人が働きながらマラソンの練習をするのに近い。
物凄く辛いということなんだが、マラソンは健康効果があるけどゲームにはない。
体を動かさないからだ。
「辞めたほうがいいよ」といつも言っている。
逆に、リアルMTG(紙でやるマジック:ザ・ギャザリング)以外と人狼ゲームはよく人に勧めている。
カードゲームも人狼ゲームも一定水準のプレイができるようになるまでとても速いし、アスリート的要素が少ないので負担もないからだ。
奥を語れるほどじゃないが、難しいと感じたもの
半年ほどしかやったことがないが、FPSも難しいものに含まれると思う。
友人に上手な人はたくさんいたけど、僕が上級者になれなかったからだ。
他にはゲームではないけど、こうしてブログに文章を書くというのも難しい。(いまだに書いている途中ずっとフラストレーションを感じる)
次の3つの要素があるものは難しい
難しいゲームの共通点は次の3つになるだろう。
- 練習するべきスキルの数が多い
- 間違いに気づきにくい
- ゲームスピードが速い
MOBAと格闘ゲームは単純に練習するべきことが多い。
そして自分のリプレイを見なければ、間違いに気づけない場合が多いんだ。
人間の認知リソースは1秒間に40ビットと少ないので、ゲームスピードが速いゲームはそれだけで難易度が跳ね上がる。
そのため、仕組み的にリプレイを見なければ正しい選択肢がわからないのだ。
そう考えると人狼ゲームが簡単な点も納得できる。
覚えるべきことが少ないのと、ゲームスピードが速くないから間違いに気づきやすいからだ。
さらに人狼ゲームやカードゲームというのは、プレイヤー同士のコミュニケーションが楽しいゲームでもある。
なので、お互いに間違いを指摘したり意見を交換したりしやすい。
まとめ
数字列の記憶の世界なら200時間でもトップクラスになれる。
格闘ゲームは楽しめるようになるまで時間がかかる。
ジョシュ・カウフマンの4つの手順
- スキルを小さく分解して練習する
- 間違いを自己習性できるレベルを目指す
- 誘惑を排除
- 「ヘタクソな自分」からの脱却
難しいゲーム3つの基準
- 練習するべきスキルの数が多い
- 間違いに気づきにくい
- ゲームスピードが速い
簡単と言われる対戦ゲームは、どちらかというとシステム自体が簡単というより学習しやすいゲームである場合が多い。
ポジティブ心理学では、人間は周囲の支えがあるかないかで仕事の成功や幸福度が大きく変わると言われているが、少なくともゲームの世界ではその傾向は正しいようだ。
僕はこれからも人狼ゲームを人に勧めていくことにしよう。
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こういうコンセプトの本は少ない。
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いつも貼ってる世界一おもしろい認知心理学の本。
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面白いけど読まなくていい本。