問題解決の1手目は、要約する、もしくは図を書く。
どちらかをするのが有効なそうです。
今回やってみた、ぐずぐず主義克服シートというのは認知行動療法の中で開発された手法で、デビッド・D・バーンズの名著「いやな気分よ、さようなら」で紹介されているトレーニングメニューの1つです。
それでは実際の手順を説明しつつ、1ヶ月やってみた感想を書いていくことにします。
ぐずぐず主義克服シート
- 1~5までは日々先延ばしにされている記事執筆を分解したもの
- 6は毎日している先延ばしされていないランニング
うつ病の人というのは当然、脳みその状態がよろしくないので性能もモチベーションもかなり低い。
なので、認知行動療法というのは仕組み的にとても簡単で、誰でもできるように作られています。
それでもある程度は創造的な作業なので、ソーシャルゲームよりはずっと難しいと思う。
認知バイアスの関係で記録しないと正確な見積もりができない
人間の脳は、物事を正確に見積もるというのが苦手。
ネガティブな事にはよく注目する癖に、何故か妙に楽観的な性質を持つからです。
簡単に言うと、事実を歪ませまくってしまう。
難易度効果
難しいことは簡単に、簡単なことは難易度を難しく見積もってしまうこと。
ダニング=クルーガー効果
詳しくないこと分野に限って、自分は人よりもできると思ってしまうという説。
ダチョウ効果
危機の存在がハッキリとわかっているのに、そんな問題は存在しないように考える傾向。
人間生きていれば、すぐに上記のようなことが思い当たるはずです。
認知バイアスや主観がなくなることはありませんが、先延ばしがなくなるように脳が適応できれば、それ以上望むことはありませんね。
作業を分解して困難さの予測を下げる
困難さの予測=抵抗感
先程書いたのはブログの記事執筆の手順ですが、ブログを1記事書くってなると大きすぎる。
ブログを1記事書くことを1タスクと数えるのは、ちょっとスケールがでかすぎるので、ためらってしまうのです。
あなたが勇者だとして、王様から「魔王を倒せ」と言われたとしましょう。
その場合は、倒せる敵を倒して、性能の良い装備を揃えて、少しづつ進んでいこうとするはず。
そのようにタスクを細かく分けて、計画を立てて進んでいくはずです。
先延ばしにしていることやブログも、RPGのようにフロチャート(流れ図)を思い描いて進めていきたいのです。
朝布団から出る時、気合を入れて壮大な1日を始めるのではなく、「ちょっとトイレに行くだけだよ」と思ったほうが布団から出やすいのと同じで、細分化したほうが行動に移しやすい。
トイレは必ずやらなければいけないタスクだけど、生理現象なので負担には感じないので、1日の始まりとしては優れているのかなとも思う。
二等分法という分解の仕方
二等分法とはすべての仕事を、これ以上分けられないところまで分解し続けるという作業をした上で、仕事に取り掛かる方法を言います。
他にもサラミ法とか色々な呼び方がありますが、共通点はプロセス(過程、工程、方法という意味)を細かく分解するってことです。
抵抗感を減らす他に分解する理由は、人間の短期記憶の容量は少ないので、慣れてないことは少しづつしかできないからです。
慣れてないことなら手取り足取り教えてあげたほうがいい、自分でも良くわからないことを自分自身に親切に教えるという行為が、プロセスを分解することなのかもしれない。
手順
- 仕事の半分を含むカテゴリーを考える
- 新しいタイトルが前のタイトルの半分の仕事を表す
魔王を倒す勇者の仕事の例
- 魔王を倒す
- 次の街に行く
- ステータスを上げる
- 魔物を倒す
- ゴールドを得る
パワー系勇者なので、会話はイベントのフラグ立てのためだけ、当然その会話も全部ボタン連打で飛ばす。
満足度の予測を上げる
どうして満足度の予測が低いのか?不思議ですよね。
はっきりとコレだ!と言えるものはありませんが、おそらく生活の中で身につけた知恵ではないかと思われます。
6つのパターン
- 満足度が高いと予測>実際低かった>不快
- 満足度が高いと予測>実際高かった>普通
- 満足度が高いと予測>予測より高かった>最高
- 満足度が低いと予測>実際低かった>普通
- 満足度が低いと予測>実際高かった>最高
- 満足度が低いと予測>予測より高かった>最高
このように、満足度は低めに見積もったほうが幸せな結果になります。
みんなで何かをする時に「楽しくプレイしようと思っている人」がすぐ怒ったり、人生に幸せを求めると不幸せになるのと似ています。
つまり期待しすぎるのは良くないと、人間誰しも、日常生活から学んでいるわけです。
凄い個人的な具体例
大昔、僕が幼稚園に入る前だった頃の話になります(たぶん3歳の時、僕は2年保育だったから)。
当時はガンダムカードダスっていう物があって、20円入れて回すと1枚カードが出てくるという機械がありました。
僕はそれに100円を入れて5回引いたのです。
僕はキラキラの強そうなガンダム出ると期待して回したのですが、当然出てきたカードは5枚のパッとしないヤツでした。
怒り狂ってカードをちぎってドブに捨てたことを良く覚えています(おかげでギャンブルは嫌いになった)。
しかし、ここで問題が1つ。
期待しなければ、つまり満足度の予測が低ければ、それだけ行動を起こしにくい。
満足度が10未満だと実行するのが急に難しくなる
僕がぐずぐず主義克服シートを試した経験を書きます。
困難さの予測が10のタスクがあるとした場合、満足度の予測した数値が10以上ならば苦になりませんが、0やマイナスだと手を付けるのが急激に辛くなります。
10ならよっぽど時間もエネルギーもかかりそうな困難な事じゃない限りは、「やってもいいかな」という気持ちになるんですが、0は本当にキツイ。
なので0の場合、自分自身にそのタスクへの意味や興味を持たせることが必要になるでしょう。
満足度の予測を上げるには価値や意味を見い出す
少し悲しいですが、人間は自分との関連性がないことにしか興味を示さない(断言)。
これを認知バイアスだと、関連性効果って言います。
例えばマインクラフトやレゴ・ブロックが人気なのは、自分自身に関連性のある何かを創造することを単純にやらせてくれるからだと言われていますね。
なので、満足度の予測を上げる方法はたくさんありますが、自分自身との関連性を見つけるというのが良いのかもしれません。
先延ばししないで習慣化されているランニングと比べてみる
こういった考え方をアナロジーと言います。
アナロジーというのは類推とか類比といった意味で、問題を解決するのに他を参考にするといったような考え方のことです。
意味のつながりや共通性を見い出すのは人間にとって結構楽しいらしく、割りと推奨されている考え方の一つです。
なので、先延ばしされている記事執筆とランニングを比べてみました。
我ながらよく習慣化できたなと思います。
うつ病防止にやっていたんだけど、有酸素運動は脳みその細胞を増やす一番良い方法でもあるようです。
ランニング

記事作成とランニング
困難さの予測が10ですが、これは意味を感じているからとか、ランニングのメリットを知り尽くしているからではなく、単純に慣れているからです。
歯磨きするのに悩まないのと同じ、しないと大変なことになるけど、先伸ばすよりもしたほうが楽だからです。
しかし、慣れてない人が1時間近くランニングをするとなると、困難さの予測は100になるんじゃないでしょうか?
さらにダイエット目的でランニングを始めようとする人は、走るのに向いてない体型かつ運動が嫌いだと予測されるので、困難さの予測が12000くらいになりそう。
記録を伸ばすとか思わなければランニングは大して辛くないので、そのうち楽になるのだけど、最初のうちは大変。
毎日していることの場合は、当然予測と困難さに違いはありません。
そして見込み時間と実際の時間にも違いはないです。
ただ満足度だけは違いました、走り始める時は何も期待せずに走るんですが、走り終わったあとに心拍数が随分上がっていたんですね。
1時間近く心拍数が結構上がった状態だったのだから、これはかなり効果が高いだろうって(歩くよりも適度に走るほうが、脳に良い)。
まとめ
- 「困難さの予測」が10になるまでタスクを細分化する
- 「満足度の予測」が10になるまで意味や価値を探す
- 予測を立てたら実際に試してみる
- 「実際の困難さ」を記録する
- 「実際の満足度」を記録する
ぐずぐず主義克服シートに記録していて感じたことを三段論法でいうと
- 先延ばしされている事に対して自分は初心者である
- 初心者にはとびっきり親切に教えるべきである
- ゆえに先延ばしを繰り返す自分には親切にするべきである
画像にすると
何か面倒で先延ばししたい事があった場合、「細分化だけして先延ばしするわ」くらいの気持ちでいいのかもしれません。
ぐずぐず主義克服シートのことが書かれてある書籍
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認知行動療法(CBT)のセルフヘルプ本で一番有名な書籍。
今回のぐずぐず主義克服シートは98ページにトレーニングの1つとして乗っている。
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読書猿さんの本、37のツールの1つとして紹介されている。
かなりのやる気がないと読めないし、やる気があっても本の内容を半分くらい理解するだけでも半年くらいかかると思います。