書評

PEAK 超一流になるのは才能か努力か? by アンダース・エリクソン ロバート・プール [書評]

 

PEAK

最近はこのブログばかり書いているけど、僕は対戦ゲームが趣味で長年ずっとプレイしてるんですよ。

 

大会に出てみようとか、プロゲーマーになろうとは思ったことがないんですけど、本当にゲームというものが好きで、いつも熱心にプレイしていました。

 

自分で言うのもなんですが、どのゲームも始めればすぐに上位数%になってしまいます。

 

あるゲームで、僕は掲示板などで人に教えるような立場になったことがありました。

 

生粋のメルヴィン(ゲームのメカニズムが好きな人)である僕はそこで色々なことを教えていたのですが、物凄く上達する人がいる一方、真面目にやってそうなのに全然上達しない人も多かった。

 

当時から僕は才能という乱暴な言葉は全然信じてなくって、上達しない人達は熱心にプレイしていないだけじゃないのか?と疑ったりしていました。

 

しかし、僕もゲーム下手だった時はうまくなりたいと思っていたし、自分がゲーム上手な振りをしていた記憶があったので、他の人達が「頭を使え」とか投げやりな返答をしていた中、丁寧に教えていた気がします。

 

そういった中で「動体視力が弱いのかな」とか「普段どういう練習してるんだろう」など色々な点から、彼らの上達しない原因を考えるようになっていったのです。

 

別なゲームをするようになってからも「上手な人と下手な人の違いはなんだろう」と考え続けていました。

 

そういった自分が今まで人生で考えてきたことが結構間違ってなかったと確信させてくれたのが本日紹介する本。

 

超一流になるのは才能か努力か?」という本です。

 

僕の31年の人生で最も好きな本「今まで読んできた本の中で一番よかった本は?」と質問されたら2秒でPEAK(この本の英語の名前)と答えます。

 

さっそく紹介しましょう。

 

最重要キーワードは二つ、「限界的練習」と「心的イメージ」だ

 

前書きよりも前に、本の著者二人から妻に向けた感謝のメッセージが書いてあります。

 

その時点でこの本の出来が、いかに素晴らしいかわかってしまうというものですね。

 

絶対音感がどうやって開発されていくか、苦しい練習を続けるテクニックなどが書かれていますが、この本の重要なキーワードは二つです。

 

凄く雑に限界的練習(Deliberate Practice)を説明

 

一つ目は限界的練習と言って、GRIDという本では意図的な練習と訳されていたものです。

 

限界という名前に引っかかる方は、英語名では”Deliberate Practice”というので、そういう人はそちらの名前で覚えておけば抵抗なさそう。

 

どの分野でも超一流のエキスパートは共通した練習方法に基づいているということが書いてあります。

 

そして、その練習方法こそが限界的練習というもので、上達し続ける人としない人の差はここにあるのだと。

 

本のページの大半を使って詳しく説明されているのです。

 

限界的練習は学習者のコンフォート・ゾーンの外側で、常に現在の能力をわずかに上回る課題に挑戦し続けることを求める。

このため限界に近い努力が求められ、一般的に楽しくはない。

 

わかる、わかるよー。

 

ゲームですら真面目に練習すると結構辛いですからね。

 

と、このような限界的練習の定義や上達しないのはなぜか?ということがずらっと書かれている。

 

やっぱり凄く雑に心的イメージ(Mental Represention)を説明

 

心的イメージ(Mental Represention)というのは、何ページにも渡って説明がされているので、ここで説明するのは非常に難しいのですが、やってみましょう。

 

あなたには得意なことがありますか?

 

喋るだとか、走るだとか、水泳とか、コミュニケーションとか。

 

恋愛とか恋人のことでもいいですね。

 

〇〇とは、このようなものであるというイメージがあるでしょう?

 

そしてそれは、とても1文や2文では語りつくせないし、2時間喋っても時間が足りないでしょう。

 

凄く詳しいのに、他の分野には笑っちゃうほど応用が効かないっていうもの。

 

大雑把に言えばそれが心的イメージです。

  •  ドレイヴンは上手なんだけど、他のADCはさっぱりダメ
  • 文章は上手にすらすら書けるのに、いざ話すとなると全然喋れない
  • 料理は上手なのに、情緒不安定すぎる
  • 頭がいいのに、ジョニーで青切符を取ったと嘘を付く
  • ゲームは上手なのに島根弁がきつい

というような人達が世の中にたくさんいるのは、心的イメージには応用が効かないためです。

超一流になる道というのは、限界的練習をして、その分野の有効な心的イメージを獲得するということであると、この本には書いてあります。

 

何か心の底から上達したいというのであれば、その手助けとなるのがこの本です。

 

まとめ

 

チクセント・ミハイ氏のフローとはまた違った観点から、上達というアプローチについて書かれています。

 

ゲームというのは誰しもがフロー状態になりやすいのですが、その中でもなお差が付くというのを実感しているので、僕はこっちの説のほうが好きですね。

 

ただ練習が苦しいだけでは取りかかるまでが大変なので、中々ブログも書けません。(最近は僕はブログを上達したいと考えています)

 

なので両方をというのが大事なのかな。

 

限界的練習は1回1時間で1日に5時間が限度であると書かれているし。

 

大分内容が難しく、学術書に近いような感じですが、今まで人生で何か一生懸命練習した記憶があるという人には是非、手に取っていただきたい本です。

 

特に僕のように、卓越したとしても世間からは何も褒められないような分野、そういったものを必死に練習した人に読んでもらいたいですね。

 

きっと祝福された気持ちになることでしょう。

 

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